銚子電鉄、という小さな私鉄については、いまさらあえて説明しない。
知らない人は、ぜひ検索を。いっとき廃線の危機に見舞われたローカル線なのだが、危機脱出までの経緯が大変面白い。
夏みたいに晴れた連休の最終日、日帰りでそこへ行った。
再建をめぐる騒動を機に、名勝・犬吠埼の近くを走る「かわいい電車」であることや、会社謹製の濡れ煎餅・たい焼きの味が広く知られるようになっていて、この日もバスツアー数団体を含む多数の旅行客で大盛況。
ただ、かといって幻滅する様な大混雑でもなく、広い青空の下をゆくオモチャみたいな電車、漁港の先に広がる群青の太平洋、そこで食べた安価にして豪勢な刺身定食、そして大人気の濡れ煎餅やたい焼きを満喫できた。
…と、そんな事どもを伝えようとしてたのに、思わず選んだのは、日が傾いてきて誰もいなくなった後の、名所も何もない途中駅での写真。
そして一言。
「やっぱ都会から離れた場所には、静けさが一番似合う!」
にぎわってるのを褒めておいて、実に身も蓋もない。
この春、小さな夜間高校から、いきなり七百数十名いる昼間の高校に移った。イラスト部の部員が前の学校の全校生徒より多かったりする。話してみれば子どもはどこでも同じだし、多ければ多いで授業も部活も行事も楽しいのだけれど、一日終わってふと気づくと、人の多さにどっと疲れた自分がいる。
あとは、子どもたちの物分かりが良すぎて、かなり丁寧にやってるのに授業が従来の五倍ぐらいのスピードで進む…いいことに聞こえるが、つまり授業の支度もこれまでの五倍増しになった。
「忙しかろうけど、休日に出ることも多くなろうから、代休でもって『日・月』とかで休んだりできるかも♪」
…私がバカでした、ハイ。土日も代休も真面目に勉強、祝日でようやく日帰り旅行…先月末に三泊四日したけど、それは修学旅行。
「でも、通勤が片道1時間強からチャリで20分ぐらいになったし…たまった写真の整理ぐらいは♪」
…12時間近く職場にいるんで差し引きマイナス。放課後に何もない日も多数あるのだが、なぜか常時誰かしらと向かい合っていて、結局下校時刻までデスクワークができない。
そんな訳で、この小旅行の中で一番静かな、一番ゆったり時間が流れていそうな眺めを思わず選んだ。
結果として、「近場以外どこにも行けないよ~」という近況の報告も兼ねている。