記事一覧

とある一周旅行・前編

 くどいようですが、次回イベントは4/1、神戸の「そうさく畑」です。
 日付の予告ばかり繰り返してますが、次あたりでブースなどを明らかにできるのではないかと…。

---------------------

 ファイル 50-1.jpg
 思いつきで、こんなことしちゃいました【上写真はクリックで拡大表示】。 
 …といっても、しちゃったのは去る1月上旬のこと。前回書いたとおり2月以降にこんな真似できません。
 全長2,489km、そして12日間有効の一周乗車券。
 私はいったい、何日かけてどこをどう回るのやら…。

 
 1月7日の11:56、東京から東北新幹線「はやて+こまち」に乗って北上。
「4列座席な車内の方が在来線の旅っぽくていい」
 というわけで、秋田へ行くわけじゃないのに「こまち」の方。
 ちなみに以前ここに書いたが、会津へ行く時も郡山までなのに「つばさ」をご指名している。そちらの場合は相方が窮屈な二階建て車なので、なおさらの話。
 とはいえ速いので、通過する駅名を読んでも実感がない。
 東北に来ている、という感じを覚え始めたのは、仙台を出て雪が目に入り出してから。

 
 岩手県に入ったあたりで一面の雪景色になり、そして吹雪に。
「例によって、旅先に雪を降らせるのが得意な私」
 この時はそのぐらいにしか思わなかったのだが、先日お会いした当地の人によると、岩手県内の東北線沿いも、この冬は異例の大雪だったそうな。
 ただそれは1月末以降の話で、この時期の真っ昼間に右写真みたいな降りというのは、やはり私のせいだったらしい。
 やがて吹雪が収まり、続いて盛岡の町が近づく。
 盛岡は14:22着。目指すは青森なのだが、「こまち」だもんで当駅で車外へ。
 
 切り離しシーンを見物し、先発の「こまち」を見送るのはいいとして、後部の青森行き「はやて」も見送ってしまう。
 もちろん、後続の「はやて」の特急券が懐中に…新幹線では乗り継ぎの特急券【下写真…クリックで拡大表示】が通し料金で買える。
 ファイル 50-2.jpg
 ただし、その後続は1時間後。でも私は意に介さない。
「なに、1時間ぐらい簡単につぶれるさ」
 そう踏んでいたとおり、ほどなく反対側のホームに東京行き「はやて」接近というアナウンス。
 
 なんと「はつね」になるはずだった(笑)「はやぶさ」用の新車がやってきた。
 続いて、そいつと当駅で併結する「こまち」も到着。
 
 両者が出て行くと、上下左右を見渡しながらホームをうろつく。
 重厚な感じの上屋と柱、ガラス張りの防風壁…これぞ国鉄設計の「東北新幹線のホーム」。
 
 他にも回送列車の到着だとか、見るものはボチボチあるのだが………
 寒い。
 風は遮断されていても空気自体が冷たく、体はまだしも手がどうにかなりそうだ。30分耐えてから、たまらず階段を降りて待合室兼喫茶室へ。
 ちなみに乗り継ぎ特急券の場合、新幹線改札から外へは出られないので在来線見物は不可能。
 切り離しシーンだけが目当てなら、あわただしいけど通しで「はやて」に乗った方が楽です。
 私のように真の目的がタバコ休憩なら、「はやて+こまち」の30分後に着く盛岡止まりの「やまびこ」と組み合わせる方法もございました…(苦笑)。

 
 後続の「はやて」に乗ること1時間少々で新青森。
 ここでしばし一周乗車券のルートから外れるので、途中下車扱いで改札を出る。
 あらためて在来線口へ行き、隣の青森までの切符を買う。小さな改札口の横に券売機が1台あるだけ。新幹線がなければ野中の一軒駅(?)だから仕方ないが、私みたいなのが何十人もいたら行列になってしまう(←余計な心配)。
「新青森~青森間に限り、乗車券だけで特急の普通車自由席に乗れます」
 のルールを遠慮なく行使して、函館行き「スーパー白鳥」に乗車。
 
 列車は写真手前側へと進んでいるのだが、なぜか誰一人として座席の向きを変えようとしない。
 青森で進行方向が変わるからだけれど、青森までしか乗らない私には非常にシュールな5分間だった。

 青森到着は17:02。もう「雪景色」というか「雪まみれ」である。
 
 外に出て、駅舎入口の並びにある食堂兼居酒屋で晩ご飯。
 駅前広場から見て右の端の方…名前を控えてくるの忘れた(汗
 
 イカ刺し400円。ホタテ焼き2個で300円。
 おおむね「立ち食いソバ屋<●<町の定食屋」といった価格水準で、麺類やカレーなどはヘタなファミレスより安いのだが、生のホタテがからむメニューだけが高い。
 唯一「利き酒セット」というのが700円で生ホタテを出していた。利き酒というからには日本酒だ。ビールと炭酸割り以外は後に残る体質で、味も苦手なのだが…。
 
 口に入れると見た目以上にボリューム感があって、美味。
 当地の日本酒3種類がそれぞれお猪口に2杯分ほど、小さなお椀に入ってついてくる。苦手なはずが結局飲んでしまった。
 ちなみに店内禁煙だが奥に喫煙所がある。喫煙者にとってもその方が気楽だ。

 買い物を済ませ、新青森までの切符を買って18時すぎにホームへ。
  
 上野行き「あけぼの号」がすでに入線していた。
 鉄必見な列車なのだが、電気機関車のブロアー音が大きく響くばかりで人の気配が少ない…。
 
 と思ったら向かいのホームに。ご苦労様です。
 私は機関車や編成写真よりも、青い客車が止まる昔ながらのホームがメイン。
 
 発車は18:25。当駅始発の長距離列車といえども、いまや列車を20分以上も待機させてくれるターミナル駅は希少だ。おかげで、時期柄ほぼ満席のはずなのにホームの人影は適量に収まっている。

 18時半過ぎ、やや遅れて発車した「あけぼの」を黙って見送る。
 …ええ、私の一周旅行はそんなルートじゃありません。
(というか「あけぼの」だと「東京→東京」の切符にならない)
 寒さがさらに強まり、いったん弱まった雪がふたたび増え始めたところで…
 
 本日のメインイベント、大阪行き「日本海」入線。
 写っている機関車は車両基地からの回送用で、こちらは後ろ側。先頭側は大騒ぎのはずだ。
 懐には9号車の寝台券。1号車から続くB寝台の一番後寄り。
 そして、この列車も20分ばかり止まっていてくれる。
 ただ、こちらは
「3月で定期列車としての運転は終了」
 というだけあって、ホームといえども撮影者の人影がなかなか途切れない。
 十数回シャッターを押して、比較的マシに撮れたのは以下のみ。
 
 
 
 
 発車まで撮ってばかりになるのは嫌なので、後半は眺めて雰囲気を胸に刻む。
 カウントダウンを迎えた今頃は、それすら不可能な阿鼻叫喚の人だかりになってるんだろうな…。
 
 そして、車内へ。
 デッキから客室に入って寝台に荷物を置き、通路側の腰掛けを引き出す。
 
 なんか陰気な写真になっちゃったけど、逆側にはやはり窓際に座る人々の姿と、談笑する声がある。
 途中からの乗車も含め、本日は満席とのこと。帰省からの戻りといった「普通の人」(笑)が中心で、撮影者数の割に惜別乗車のファンはまだ少数派だった。
 反対列車が遅れているとかで、定刻になっても発車しない。
 10分ほど遅れた19:40頃、「まもなく発車」の放送が繰り返されてから、ガクン、と列車は動き出す。
 倍増した撮り鉄諸兄に見送られて青森出発。ハイケンのセレナーデと呼ばれるオルゴールに続き、車内放送。
「今日は、寝台特急『日本海』をご利用いただき、ありがとうございます。発車が遅れまして申し訳ございません…」
 さっきの「あけぼの」も下りの到着待ちで遅発していた。今から走る奥羽線・羽越線は基本的に単線で、加えてこの雪だ。暮れの山陰旅行を思えば10分遅れなんて御の字である。
「まあ急ぐ旅じゃないし、これぐらいなら途中で回復するだろ」

 ゆっくりと走って、すぐ隣の新青森に停車。乗り継ぎ客が意外にいた。
 
 最寄りのデッキに車掌室があり、客室にいながら無線のやりとりが聞こえる。
「こちら4002レ車掌。運転士さんどうぞー」
「はい、こちら4002レ運転士ー」
「4002レ、発車ぁ」
 彼方から応答がわりの汽笛が聞こえ、カクン、という客車ならではの走り出し。
 
 ここから一周ルートに戻った。検札も無事に済み、そして列車は次の弘前を目指して特急らしい走りへ。雪の夜景を見ながらビールを開ける。うまい。自販機はなく車内販売も翌朝まで来ないけれど、飲み物も食料も十分に仕入れてあるし…。

 …と思いきや、二駅ほど通過したところで速度が落ち、足下を探りつつ進むような走りを続けて、やがて止まった。
「停止信号です。恐れ入りますが少々お待ち下さい」
 トンネルの中なのが落ち着かないけど、よくあることだ。
 というわけで、この間を使って「本日の駅弁」の撮影。
 
 「八戸いいとこどり弁当」(1,050円)
 なぜ青森駅で売る?と突っ込もうとしたら、八戸名物のちらし寿司に青森のホタテを足して「いいとこどり」らしい。イクラの弁当も初めてだったが、生ジャケと生鯖もおいしかった。
 
 「青森むつ湾・ほたて三昧」(900円)
 味噌焼き・照り焼き・塩バターが2枚ずつ。「ご飯のおかず」が少ないものの、下が「それだけでイケる」ような炊き込みご飯。上物をつまみにして締めにご飯を、という趣旨かも。
 …他もホタテ物がいくつもあったが、青森の駅弁屋さんにはぜひ生ホタテに挑戦してほしい。
 あと、青森駅は、改札内の施設の閉店が早い。その場合は改札前の横にある商業施設に入り、その中の売店兼土産物屋へ。

 さて、駅弁を撮り終わっても列車は動かない。
 
 この先の駅で、ポイントが凍って切り替わらなくなっているとの案内。
 時々、車掌室からあわただしい無線のやりとりが聞こえてくる。
 止まっているのは青森と津軽平野の間にある、大釈迦峠というちょっとした山越え区間だ。そりゃ雪害も他より起こりやすいだろうが…。
「ただいま係員が現地へ向かっております」
 何度目かの案内放送で、そんな情報が加わった。
「こりゃ、時間がかかるなあ…」
 向かうのが隣の駅からだとしても、何十分かかるだろう…さっき元通りにした弁当の一つを開けて食べ始め、結局2つとも食べてしまった。
 
 ただ、私は急がないから何ともない。むしろ台風を前にした子どもみたいにワクワクしている。
 そして意外にも、他の乗客も車掌室に押しかけたりせず、「まだかねえ」などと話題にしつつも席で談笑していた。
「明日仕事だとか、翌朝他の特急に乗り継ぐとかいった人は乗っていない」
 どうも、そういうことらしい。そして言い方を換えると「もはや用事で移動する人にはアテにされてない列車」ということでもあり、複雑な気分がする。
 …でもとにかく、空気が平穏なのはいいことだ。窓の外がトンネルの壁なのが少し残念だけど。

(つづく)
(なお「日本海」車中の写真はランダムイメージで、記述の時刻・区間とは無関係です)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://dai.s151.xrea.com/kinkyo/a_kinkyo/diary-tb.cgi/50

トラックバック一覧