読者からの作品紹介(ご感想)

「エッちゃん」編

最終更新・11/01/16

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 皆様、『エッちゃん』・『耳を掻かせて』の2編、お読みいただきありがとうございました。
 巻頭の掌編『耳を掻かせて』は掛け合いで笑ってもらうだけの話でしたが、田島が半分意図しない「おまけ」も受け取った方もいらしたようです。
 そして『エッちゃん』。女性、それに地方から大都市へ出ていらした方を中心に、自分と重なるものを感じたり、思いをめぐらせたりしていただけました。それは当「新嘲文庫」が最も意図することの一つですので、大変光栄です。
 それでは、内容をどうぞ。


『耳を掻かせて』について

「ちょっと翔!何しとるんよ!」
「おしっこ」
ここで吹いて、あとは一気に読んでしまいました。
翔のボケ方の一部や最後の姉ちゃんを気遣うとこが、ちょっと小4にしては賢すぎると思うんですが、かわいいので許せます。
これ以上大きくて姉ちゃんの前で平気でおしっこしてても気持ち悪いですし・・・。
(あ、でも書きようによっては萌えるかもですが・・・失礼///) 【女】

会話のテンポが心地良く、スッと入って一気に読めました。二人のやり取りがすごく好きです。 【関東・女】

翔ももちろんですが、耳かゆいの我慢して精一杯お姉さんしようとしてる私(つばさ)もかわいいです! 【大阪・女】

(田島注・ストーリーの中の不自然なところを数カ所指摘して下さった上で)
耳が感じちゃう女の子っていいですよね。将来がとても楽しみです。
ただ微エロ(私の勝手な解釈ですが)であるならば、本文全体にもう少し散りばめて描写してもいいのかなと思いました。 【男】

久しぶりにわが故郷が舞台、うれしいです!
確かに「とっとりライナー」のアレは、確かにビビりがひどくて耳に来そうです。読んでて自分もムズムズしました。
特急気動車(キハ187、あとHOTも)もそうですね。どれも走りっぷりは好きですが。【男】

.

 つばさの耳掃除シーンはそういう意図も半分あったのですが、翔にショタ萌えな想像の余地を与えた覚えは全く…(笑)。
 笑い話と、あとは何のかんの言って仲むつまじい姉弟を描きたかっただけですが、もちろん楽しんでもらえれば理由は何でもいいです。
 鳥取〜島根東部の山陰線は田島には珍しく、新車を含めて丸ごと愛せる区間です。というか土地ごと好きな場所ですので、いずれまた必ず。


エッちゃんと、その旅路

彼女の不器用さがたまらない。 【20代・男】

毒づいたりするところを含めて、エッちゃんがカワイイ。
向かいの中学生とか、電車の中に出てくる諸々の事も。
遠くへ行かなければいけない理由が読み出して早々に見当がついてしまったのですが、読む上でそれは影響なかったです(でも、そこはもう一工夫ほしいです)。 【男】

友達や好きな男の子のことでうじうじ悩む姿は、等身大の高1の女の子そのものです。
そのくせ人のそれを見せられるのは嫌なんですが、
嫌になる寸前で面白そうな動きがあったりして、ついに読んでしまいました。 【女】

回想に出てくる過去のストーリー(田島注・詳しく色々挙げて下さってるのですがネタバレになるので略)、そこで引き込まれました。
あの部分があらすじ的に回想で終わるのは、もったいない。
ああいう物語を本題として読んでみたかったです。 【女】

.

 意図的に回想の継ぎ合わせで話を作る形を取ったので、『耳を掻かせて』を読んで単純な進行を期待した人には、難しい思いをさせたかもしれません。
 ただ、感想を下さった方々は細部まで味わっていただけたようで、何よりです。
 エッちゃんの中学時代までの話は、私ももったいないと思いました。必要な材料をもっと貯めて、いつかそんな話も書きたいですね。


只 見 線

タブレット交換のあるローカル線、いいですね。
でもそれだけなら「鉄メカミリ」でルポを買えばいいですし、細かさはそっちが上です。
ホームに出てきた駅員をキャラクターにして、いかにも「田舎の駅員さん」みたいな優しい人格を与えているところが田島さんならではです。 【ななしの・男】

 只見線の七日町は『なぬかまち』です。 【男】

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 職員を登場人物にするについては、目撃や経験をもとに描いています。ただ今回の舞台については特に、ある駅の駅員氏が気さくに話して下さって、まさに作中と同じ雰囲気でした。
 七日町駅ですが、現地の人々の間ではすっかり「なのかまち」になっていました。只見線のアナウンスまでそれが圧倒的多数派という有様で、台詞にルビを振るとすれば「なのかまち」の方が描写として忠実です。書いているのが旅行記なら、それについて一文ぜひ書きたいところですが…。


読み手に重なる物語

「ただいまぁー!」のところで、うっかり涙目になってしまいました。

自分と色々重なってしまう部分が多くて、若干読むの辛かったです(笑)。
回想シーンの、エッちゃんが故郷の人たちに不満をつのらせていくところの、負の連鎖が心苦しくて…
でもその分、最後に重荷を下ろせたエッちゃんの物語、とてもよかったです。
わたしも、ツリバシ先生みたいな人と会えてたらなぁ…なんて思ってしまいました。 【関東・女】

 最初はエッちゃんと田辺君の恋物語かと思いましたが、読んでいくとそうではなくて『ふるさとへの想い』みたいなものがテーマなのだなと気付きました(だとすると序盤の田辺君とのエピソードが少し冗長に感じられましたが)。
 あるローカル線に乗っている時に、正面に座ったおじさんと話をしました。
 私も聴いて驚いた事なのですが、そのおじさんによると最近の地方の子は意外に都会の子と近い感覚を持っているそうです。ただ私も経験上想像がつくのですが、実際の「都会」とは絶対的な差が大きいとは思います。
 理由としてはインターネットなどのツールが発達し、情報の伝達速度が上がったからではないかと考えられます。どうやら高速化しているのは鉄道だけでないようです。
 作中でエッちゃんは『変わるモノ/変わらないモノ』について考えていますが、この作品を読んで地方在住経験者の私も、あらためて『変わりゆく事への寂しさ』を思い出しました。 【男】

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 上の「まとめ」で申し上げたとおり、こういう味わい方をしていただくのは、うれしいの一語に尽きます。感謝感激です。
 ツリバシ先生の存在に何か感じてくれた人がいたのも、うれしい限り。それだけに独立した話にできればと思うのですが…。




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