守 ら れ る べ き は・・・  約300ある事業所のうち1割近くが廃止される。一カ所平均20人として、600人 ほどの職場がなくなる。ひきかえに新設される事業所もあるから、失業するわけではない。 が、その「新しい事業所」の業務内容たるや、「それがうちの会社本来の、私の本来の仕 事か?」という中身だ…。  「リストラ」ばやりの今日、多くの企業の労働組合は、形だけの討議でこうした事を受 け入れてしまっている。さて、うちの組合はどうかな?  10月24日、夜間定時制高校二十数校を中心とする統廃合計画がついに決定された。 定時制については、給食調理のグループ化も強行されようとしている。それらでもって浮 いた金で、中高一貫高などの「特色ある」高校が新設される。  これらへの抵抗行動に対して定時制の組合員は、職場ごとにばらつきはあるもののよく 結集した。また、自然発生的に反対運動に立ち上がる生徒も現れた。私の職場は給食グル ープ化の当該校だが、生徒有志から上がった声を機に、生徒会が教員集団と対等の立場で 反対運動に名前を連ねている。  これに対し、全日制、とりわけ進学重点高や中高一貫校に改変される職場からの連帯や、 そういう職場から自分のところの改変に反対する声が、少ない様に思える。「異動で出さ れたくない」という要求や「伝統を守れ」という声は聞くが、公立高校の役割、公立高校 の教師としての仕事、といった目線から反対する運動は見えてこない。  ニーズがあればあるほど儲かり、それで企業が成り立つのが市場経済だ、というのは、 現代社会の教科書を見るまでもない。  しかし、夜間定時制の様に、経済的に豊でない層を対象にする構造上、生徒に尽くせば 尽くすほど、生徒が集まれば集まるほど持ち出しになる組織が、必ず生じる。私立高校も ある中で、あえて税金で公立高校を運営する意味はそこにあるだろう。  片や、「特色ある学校」と言っても、その実はいわゆる「進学校」づくりだ。進学実績 を売りにするというコンセプトなら、民間でもやれるだろう。  都立がそれをやるのは、今しきりに叩かれている「官による民業の圧迫」じゃないの?  中高一貫校について都教委は「社会をリードする優秀な人材を育てる」旨言っている。  それ以外の学校に行く生徒についてどう考えているのか、ほとんど言及がない。  嫌な事は嫌だとハッキリ意思表示する生徒。つたないのを承知で素直な絵や文章を懸命 に描き、「見て見て!」と言ってくる生徒。彼女ら彼らと共に過ごし、この国の自由や民 主主義のためにも、こいつらこそ守られるべきだと思うのは私だけだろうか。 (2002年11月)