そ し て  ソメイヨシノはすっかり散って、通学路を飾る花は山桜へと変わっている。まだ、日が 長いとは言えず、よみとともの帰り道は、少し寄り道をしている間に薄暗くなっていた。 「さっきは、ありがと」 「ん?」 「ほら、私が髪を切ったことで、ちよちゃんから訊かれたでしょ」 「あ、ああ。とっさの演技には自信があるからな」 「バカにした顔が演技だとは思えなかったのがちょっと気になったけど」  と言って、ぷい、と横を向いたともの顔は、表したい感情とは裏腹に、少しもの悲しげ だった。  それを知ってか知らずか、よみは、 「たいやきもあることだし、一息入れるか」 と、ちょうど差しかかった公園を指さした。 「…ん」  ともが、横を向いたまま気のない返事をする。しかしその手は、よみの制服の腕をしっ かりとつまんでいた。  園内にはまだ花を咲かせる植物もなく、高い木立がさらにあたりを暗くしている。それ でいて寒くないのは、やはり春だ。  子どもたちはとっくに帰ってしまっていて、よみとともがただ二人、ベンチでたいやき にかぶりついている。  二人とも、両親は可愛い彼女たちのために共稼ぎをしている。年度初めはどんな商売も 忙しい。それを幸運と言うのは少し不真面目だが、とにかく何時に帰ろうと、何時に夕食 を取ろうと彼女たち次第、というこの頃だ。  思えば、この似たもの同士の境遇が、二人をここまで近づけたのではなかったか。 「……言った通り、だったろ」 「………うん……ごめん。…私、私……」 うつむいたともは、食べかけのたいやきを、ぽとり、と落とした。一滴、二滴と、涙がス カートに球を作る。 「私…本当にバカだった……勝手だった!よみ、ごめんね……」 握りしめた拳を膝の上で震わせ、よみの方を見ることもなく泣きじゃくる、とも。 「……バカなのは、今に始まったことじゃないだろ」  よみがともの肩に、そっと手をかけるや、彼女はよみの胸にしがみついて、さらに激し く泣いた。  話は、去年の晩秋にさかのぼる。  ある日の放課後、二人は保健室のベッドで、恋人同士の営みを交わした。ともは帰って からにしようと言ったのだが、季節がもたらす食欲をこらえて日ごとにいらつきを強める よみに抗しきれず、結局その場で応じてしまった。  そこまではよかったのだが、行為後の心地よい疲れに、二人ともうとうとしてしまった のだった。  しばし後に二人は、シャッ、という音に起こされ、そして仰天せざるを得なかった。  カーテンが開き、その向こうに大阪とちよとが立っていた。二人とも、目を丸くしてい た。大阪の顔がはれぼったい。熱を出して、ちよの付き添いでやってきて、何も知らずに カーテンを開けたという次第だろう。  よみもともも大慌てで何かを言おうとしたが、掛け布団をはねのけて裸で抱き合ってい たのでは、どうしようもなかった。  もちろん、大阪やちよも大慌てだ。ものすごい勢いでカーテンを閉めると、 「ご、ごめんなともちゃんよみちゃん!!」 「失礼しましたっ!!」 と、駆け足で出て行ってしまった。 「あのさ……しばらく離れていよ。大阪たちには、私からうまいこと言っておくから…」 「………仕方ないな。ごめん」  そして、ともが別の学校の男と付き合っている、という噂をよみが耳にしたのは、それ から一月ほど経った頃だった。  よりによってその相手は、とっかえひっかえ女を食い物にしている、という噂が絶えな い、札つきの女たらし。    よみは、いつの間にか本気で彼女を避けて回るようになっていたともを捕まえ、必死に 説得した。 「目を覚ませ!奴がケダモノなのは知ってるだろ!あいつはな、お前の体が目当てで言い 寄って来てるだけなんだぞ!!」 「ふーん、あんたとおんなじってわけ」 「?!」 「あ、ブニョブニョで不細工な分だけあんたの方が下か」 よみの平手打ちが、ともの頬を襲った。だが、倒れたままよみを見上げたともの目には、 嘲笑が浮かんでいた。  いつしか二人に会話が戻ったが、それは決裂したことでかえって、仲間の目をごまかす ゆとりが生じただけだった。クリスマス前、正月明けと、冷たいさや当てが続いた。仲間 たちはいつものつっこみだと笑っていたが、互いを憎み合っての、皮肉の応酬だった。  それでもよみはともが忘れがたいらしく、時折ともの自宅の近所をあてもなく逍遥する ことがあった。春はまだ来、というある晩、よみがともの家の近所をふらついていると、 横の公園から聞き覚えのある声が聞こえた。  …ともだ!!  よみが白い息をはずませて公園に駆け入ると、ほどなく木立の中に人影を認めた。  そこには確かにともがいたが、一人ではなく、例の男が一緒だった。しかも、男が首筋 にからみつくのを、息を荒げて受け入れているところだった。  星が凍てつくような寒空だというのに、ともは木にもたれて胸をはだけ、下着を膝まで ずり下ろし、嬌声を上げていた。スカートの中で、男の手が激しく動いている。 「はうっ、ああん……来て」 「何だ、もうかよ…女同士で遊んでたヤツは感じやすい、って言うのは本当なんだな…」 「まだそんな噂信じてるの?…私、男の子が不思議でしょうがないよ…女の子の体なんて、 ブニョブニョして気持ち悪くない?」 「そうかなあ……」 「は、早くう…どうしていっつももったいぶるの…」  気づいている、私に!!よみは直感でそう思ったが、何もできなかった。  男がともに覆い被さり、体を上下に動かし始めた。 「あんっ…、はうっ、ああん、ダメっ…」 よみに聞かせるかの様に、喘ぎを高めるとも。よみの全身がわなわなと震え、涙が壊れた 様にぼろぼろとこぼれた。 胸が張り裂けそうなのに、声が出なかった。  目の前でともを他の人間に奪われた怒り。…いや、それだけではない。相手がどんな奴 なのか見ようともしない、ともへの悲しみ。そして、冬の屋外でともにこんな真似をさせ ている男への憎しみ。  …もし、それだけはどうしても無理だというなら、私のところへ戻ってこなくてもいい。 でも、後生だから、そいつからは離れてくれ!! 「あ、よみちゃん、ここにおったん」  よみは、二人が果てて、身づくろいをして木立から去った後も、なお震えたまま立ちつ くしていたが、不意に大阪の声を聞いた。 「家におらんいうたから……探したでー」  大阪はニコッと笑って、ジャンパーのポケットからミルクティーの缶を差し出した。  思わず缶を受け取ったよみは、その熱さに溶かされた様に、ガクッとひざまずき、大阪 にすがりついて大声で泣き始めた。大阪は一瞬たじろいだが、両手をよみの頭にそっと回 して、しばらく彼女の泣くままにさせた。そして、口を開いた。 「ここ、ともちゃん家の近所やなあ…。よみちゃん、ともちゃんが忘れられへんのやなー」 「!!」 「隠さんでもええよー。男とか女とかは関係あれへん。嫌われても好きな人の事を心配で きるんは、ほんまの愛やと思う」 「………」 「いつだったかの保健室の事もな、いきなりやからびっくりはしたけどな、別に変やとは 思わへんでー。…後から思い出すと、めっちゃすてきやったでー」  驚きと救いとを感じて、よみは思わず顔を上げた。  よみには、大阪が今までで一番大きく見えていた。 「よみちゃん、例の男からともちゃんを助けたいんよねー」 「………ああ」 「実はな、それを手伝ったろいう話をな、少し前までちよちゃんとしてたんやー。…あん なー、よみちゃんあの男と勝負できるー?」 「勝負?」 「人から聞いたんやけどなー、よみちゃん昔、剣道やっとったいう話やんかー」 「ああ、高校受験以来ごぶさただけどな」 「でな、あの男もな、剣道しよるらしいでー。二段やてー」 「!!」 「よみちゃんは、ともは私のもんや言うて、果たし状出して奴と勝負すんねん。勝たなあ かんで。でな、その間に私とちよちゃんがな、いろいろとな、うまいことするのや…」 「うまいこと…?」  日付が変わり、風も出てきたが、よみは少しも寒くなかった。  現役の、それも男相手に勝てるかどうか分からないが、今は、ともを救える可能性があ る、というだけで十分だった。  よみは、久しぶりに竹刀を取り出して、翌朝から自宅の庭で素振りを始めた。  体で覚える、とはよく言ったものだが、三年近く、竹刀の在処すら忘れていたというの に、ほどなく勘が戻った。  そして、「自発的に長距離を走る機会なんてないからな」と言っていた彼女が、毎日朝 靄の中を何十分も走りはじめた。おのずと夜ふかしと朝食抜きとを返上して、朝から運動 部の男子生徒の様な量を食べる様になった。  父親は娘の急変を心配そうにいぶかしがったが、母親は、女同士で何か感じるものがあ るのか、少しとまどいながらも、昔の元気な暦に戻っただけじゃないですか、と、笑って 取りなした。  ただし、学校では「いつものよみ」を貫き通した。ともが二度ほど、仲間の手前機嫌を 取っておこうとでも考えたのか、登校時に後ろから追いついて、当たり障りのない冗談を 差し向けてきた事があった。  ダメで元々とばかりに抱きしめて、もう一度思いをぶつけたかった。だが、 「……今の私じゃダメなんだ!」 という思いがよみの衝動を止まらせ、彼女はただ鸚鵡返しにともの言葉に相槌を打つだけ だった。  そして、冬が終わり、春が来た。  年度が明けてまだ浅い、薄日の差す昼下がりが、果たし合いの日時となった。  学校のそばの、林の中の広場。木漏れ日の下で、竹刀を提げ、オーバーオールの裾をま くって裸足で立ちつくすよみ。  鳥の鳴き声、そして大阪が付き添っているが、加勢どころか見届け人の役目すら、果た せるかどうか。  相手は、見届け人と称して屈強な体つきをした取り巻きを二人も連れてきた。さる小金 持ちの一人息子だとかで、貴公子然としたスマートないい男だが、よみを好奇の目で見な がら、取り巻き共々よみに卑猥な言葉を投げつける姿は、無節操な女たらしという評判そ のままだった。  男はよみの再三の要求にようやく話をやめ、上着を脱いで竹刀を取った。  竹刀を正眼からよみに向ける男の構えは、さすが現役の二段だけあって、寸分の隙もな い。  勝負は、一瞬で決まった。出合うや、敵はよみの渾身の突きをみぞおちに食らい、地に 伏してのたうち回った。  確かに動き自体は美しかったが、振り下ろす竹刀に勢いがなく、あっさりとよみに見切 られたのだった。大方、この男の周りはおこぼれ目当ての取り巻きばかりで、適当に勝た されて機嫌を取られていたのだろう。  文句なしに一本だが、よみはなおも、のたうち回る男の側頭部に力一杯面を浴びせた。 「……ひ、卑怯者…」 男は絞り出すようにそれだけ言うと、がっくりとのびてしまった。 「果たし合いだとは言ったが、剣道の試合だなんて一言も言っていないぞ」  そしてよみは、横と後ろから襲って来た取り巻き二人を、望むところとばかりに体を開 いて迎えた。今度は正真正銘の手練れらしい。だが、自分とともの間に立ちはだかる「壁」 を倒したよみは、その興奮と取り戻した自信とで、狂気とも言うべき力を手にしていた。  片方の奴の足を払うも、今一歩で飛び退かれた。  その間にもう一人に胴を打ち据えられたが、びくともせずに向き直り、相手が次の攻撃 に移る刹那、その喉元を思い切り突いた。  そして、いざ、残り一人と思いきや、そやつは大阪めがけて突進していた!  大阪は腰が抜け、逃げるどころか声も出ない。人質作戦?!どこまで卑怯なんだ!!  よみは雄叫びを上げながら、普段の彼女からは考えられない速度で走り出した。そして 前のめりに宙を跳び、裏から組み付いて相手を倒すと、その頭に両の拳を雨あられと降ら せた。 「ご、ごめんなー、かえって足手まといになってしもたなー。大丈夫か」 「…ああ。大阪こそ、少しは落ち着いたか」  林の外に抜ける道を、互いをかばうようなゆっくりとした足取りで、よみと大阪が歩い ている。 「ところで大阪…ちよちゃんもそうだが、どうして私にここまでしてくれたんだ」 「何水くさいこと言うてんのー。漂流教室で『土着派』張った仲やないかー」 「…??……楽屋オチなごまかしはやめろって…どうしてなんだよ一体」  その頃林の外では、あの男の悪業をあまねく記した怪文書が証拠写真付きで各校にばら まかれると同時に、地方財界の名士である男の父親が脱税で摘発され、その知らせがばか に手回しよく各報道機関に伝わっていた。  恐るべし、美浜家の財力、とだけ、ここでは書いておく。  翌日、登校したよみを待っていたのは、長い髪をうなじが見えるまでばっさり切り落と した、ともだった。                            空には、星がまたたきはじめた。  ともをなだめるための抱擁はいつしか、何ヶ月も絶えていた、愛を確かめ合うためのも のに変わっていた。  ベンチにもたれ、倦むことなく唇を求め合いながら、片腕を相手に巻き付け、残る腕で 互いの体を愛撫する二人。  ともは、よみの上着と上着とまくり上げてその豊かな乳房を揉みしだいておきながら、 よみの手が自分のスカートをめくって微妙な部分に向かうや、 「ここじゃイヤっ」 と、恥ずかしそうにかぶりを振った。  例によって勝手なともだが、よみにはそうは思われなかった。  ともに手を引かれてたどりついた場所は、真冬のあの日に、ともがあの男とからみ合っ ていた木立だった。 「……こ、…ここは………」  複雑な表情であたりを見回すよみに、ともはコクリとうなずいた。 「……よみ…、ここで私を抱いて、バカな私を……私の忌まわしい過去を、消して…」 「………バカは治らないと思うが…」 「な、なんだとー」  思わず言い返したともを、よみがいきなり抱き倒し、その唇を、驚きの声もろとも唇を 重ねて塞いだ。 「……ん……んん…」  ともが目を閉じ、その顔にみるみる朱が差してきた。ともの方からも、よみの唇を吸い 始める。  透明な時間が流れる。  よみはようやく唇を離し、薄目を開けたともを、じっと見つめた。 「…バカは治らないが、過去を消してあげる事は、そんなに難しくない」  よみは、再び猛烈にともの唇を奪った。その片手は、過去との決別と謝罪の証とのため に短く切られたともの髪を、愛おしげにかき抱く。そしてもう片方の手は、動悸で張り裂 けそうなともの胸を、優しく、しかし激しく撫でた。 「…あ、あふぅ……はうっ…んっ……」  大事な部分によみの指を受け入れ、絶えて久しかった快感にむせぶ、とも。たくし上げ られてしわくちゃになった上着やスカートは、もはやまとわりつく布きれでしかなかった。  だが、この日のともは受け入れるだけではなかった。自分の首筋を吸うよみの頭を抱き ながら、利き腕でよみの背筋に指を這わせていた。 「…あ、ああっ……」 たまりかねたよみが、紅潮した顔を上げてのけぞる。しかしそれで興奮が増したのか、と もの秘所をまさぐる音はかえって激しくなった。 「よみ…はうっ、ここがすっごく…あ、ああ……感じるんだよ………ね、あっ、あっ…」 「…や、やめろよ…くうっ、あっ……どうしたっていうんだ…はああっ」 ともが体の位置をずり下げ、よみのスカートに手を突っ込んだ。胸はとっくにはだけ、赤 い木の実の様にふくらんだ乳首がまだ濡れている。 「よ、よみったら…ああんっ、はしたないなあ……ちょっと胸と背中触っただけ……あっ …だけでこんな…」 「あっ、あっ……とも…は、あああっ……」  スカートで塞がれているというのに、粘っこい液体をかき混ぜる様な音が、はっきりと 聞こえてくる。ともの手が、快感と闘いながら、よみの下着をニーソックスのあたりまで ずり下ろし、ばさっ、とスカートをまくる。 「いやっ……あ、ああっ!」  その場所にしてはクセのない、やわらかそうな茂みが露わにされた。ともにこんな思い 切った事をされるのは、初めてだった。 「……よみぃ、気持ちいい?」 「あっ、あああっ!……くうっ……ダメえっ…」  いきなり一番感じる場所をかき回されて、両腕でともの首にしがみついて悶絶していた よみだったが、ともの荒い息づかいを聞くうち、思い出した様に片腕を下ろし、再びとも の体の芯をめがけて、ぐっ、と手を差し込んだ。 「ひゃふうっ!!」  今度は、ともが動きを止めて、海老の様に体を折り曲げた。ちゅぷっ、くちゅっ……、 生暖かい液体の中で、よみの指が激しく上下する。 「あっ、ああっ!…いやっ!あああっ!!」 「……どう?…とも」 「…あふぅっ、ダメっ!!話しかけちゃいやっ、あっ、あ、ああああっ!!」  ともの、びくっ、びくっ、という痙攣が、よみの体にも伝わって来た。痺れの様な快感 がよみを襲い、彼女も、ぎゅっ、と目を閉じた。 「抱かれて満足しているだけじゃ、またいつか同じ事を繰り返しちゃう、って思ったんだ」  今までで一番長い余韻の後、ようやく起き上がったともが、よみを激しく攻めようとし た訳を、つぶやく様に語った。 「………」  よみは上着をかぶるのをわざと途中で止め、顔を隠して黙り込んだ。 「ほら、よみだって、私が感じるのを見て興奮するだけより、気持ち良かったでしょ!」 「……………バカ……」  上着を着終えたよみの顔は、真っ赤になっていた。 「…でも……ありがとな……確かに、その………よかった」  今度は、あっけらかんとした顔でスカートの土を払っていた、ともの動きが止まった。  木立を抜けると、すっかり夜だった。街灯の白い光の下を、二人は手をつないで歩いた。 「…でさ、一月ぐらい前から、おかしいとは思ってたの……あいつの友達と二人きりにさ れて、その男が色目使って来たりとか……でね、その少し前からよみが、急にかっこよく 見えてさ……」 「つまり、その前はかっこよくなかったと言いたいわけか、ん?」 「そ、そうじゃないって!……でさ…、戻りたかったんだけど……今さらどうしていいか 分からなくて…、それで、布団かぶって登校ってありかな、なんて……バカな事言っちゃ ってさ……私、すごいバカだった…」  強がりが、次第に涙声になって行く。よみが、ともの肩に手をかけて言う。 「大丈夫だって……分かってる。………あんたがバカなのも含めて」 「バカバカ言うなー!!……それにしても、大阪やちよちゃんは、何でそこまで私たちの 事を?」 「お前、まだ気がつかないのか?」 「??」 「あの保健室の時、大阪とちよちゃんはな、私たちと同じ事するつもりでベッドに来たん だってさ!」 「………え?!…あの二人、できてたの?!………やだー、変態ー!」 「………お前……………ほんっとに、嫌な奴だな」 「そのかわり、よみよりスマートで美人じゃん…世の中って、うまく出来てるよねー…… ん?どしたの?」  ともはこの時、数ヶ月ぶりに、堪忍袋の緒が切れる音を聞いた。 「………この…このぉ……許さーーん!!こらぁ、待ちくされこのバカーー!!!」                               【 完 】