ようやく二作目となる"最強おぐらあん"ですが、シリーズの基本的な設定が書かれた初作『春の巻』の在庫が尽きつつあります。
増刷すればセットで売れるんでしょうが、面倒がりの作者ですから、収益よりも手間の回避を選ぶに違いありません(笑)。
それを抜きにしても、作品紹介や予告ペーパーで毎回初期設定から紹介するなんて無理です。
そこで、前作『春の巻』で描かれたキャラの人となりや基礎知識を、別ページにまとめてしまいました。
各巻の作品紹介を読む際のご参考に、というのはもちろんですが、モノを読み終えた方にも楽しんでいただけるよう、今後、京都市内の略図やキャラの裏設定、各種ネタなど、内容を増やしていきたいと思ってます。挿絵の烏丸東入ル氏にも遊んでいただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
1.メインキャラ…「小倉庵」の人々
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橋立 幾乃(はしだて・いくの) 16歳♀
聖母西京学園高校定時制一年生にして、この家唯一の常識人。但馬・城崎で旅館を営む名家の一人娘で、不登校だった中三の夏、「主の祈り」を唱えて衝撃波を出せることに気づく。彼女はそれを秘密にするも母親が手回しよく是也に連絡、是也が高校進学をタネに京都へ誘った。 |
逢坂 是也(おうさか・これや) 3x歳♂
聖母西京学園高校定時制の教師。朝まで飲んじゃあ夕方まで寝る日々で授業も間違いだらけだが、面倒見はよさげ。神出鬼没に諸方を歩き回って情報を収集し、作戦を立案。作中で長州藩の軍師・大村益次郎との相似を指摘されるも関係の有無は不明。 |
逢坂 空音(おうさか・そらね) 17歳♀
是也の妹。聖母西京学園高校定時制一年生(二回目)。ゲームのやり過ぎで昼夜が逆転しており、同室の幾乃が真面目に通学やバイトをする姿にも全く影響されない。最高速度一三〇キロ、目から光線も出る改造人間だが、アホ娘ゆえ時々自分が被害を被る。 |
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関守 千鳥(せきもり・ちどり) 21歳♀
祇園の高級クラブで人気の「夜の女」。相当稼いでいる様子だが、好んで屋根裏に住み、時々寝ぼけては屋根や天井を突き破る。剣術が使え、時には色仕掛けも併用しつつ戦闘で活躍。また、水商売とはいえ場所が場所だけに、なかなかの教養人でもある。 |
宇治山 巽(うじやま・たつみ) 22歳♂
美男子で、かつ京大薬学部に在籍する秀才だが休学中。オモチャ屋やコスプレ喫茶へ行く他は家にこもり、夜な夜なアニメやフィギアにハァハァする重症のヲタク。果ては幾乃の制服+エプロン姿に「メイドさんハァハァ」。毒薬の調合と二天一流の剣術が特技。 |
九重 八重(ここのえ・やえ) 23歳♀
物書き。毎晩うなったり叫んだりしながら仕事をしているが、無名ゆえ安い仕事ばかりらしく生活は苦しい。「売れてない」と空音にからかわれるのがお約束。商売柄物知りであり、また手先が器用なため、小は着物から大は町並みまで何でも作ることが可能。 |
2."おぐらあん"シリーズの基礎知識 〜『春の巻』より〜
三方を山に囲まれた千年の都・京都。
幕末、現在の山口県を領していた長州藩は、滅亡寸前の窮地から反転攻勢をかけ、他の雄藩ともども京都を占拠。そこから明治維新が始まったと思ったら都を東へ持って行かれ、以来、よそ者をもてなしつつ見下して自己満足にひたるという京都人のゆがんだ思考が始まる(笑)。
さて、その維新に先立つこと数年。ときに長州藩の作戦家・大村益次郎は来るべき対幕戦に備え、ある『秘密兵器』を京に埋めさせた。まだ長州藩は天下のお尋ね者だったが、京や大坂に庶民や下級武士出身の隠密を多数潜ませてあった。
が、結局、『秘密兵器』とやらはほとんど使われることなく、やがて忘れ去られた。
しかし、その『兵器』は広範囲に稲妻や地震を起こし、そして機械という機械を使用不能にするという。
「もし、電子機器に生かされているような現代で、何者かがそれを発動させたら…」
…そこで祖先たちの後始末をすべく、長州隠密の子孫たちが夜な夜な『秘密兵器』の在処を探り、そして『兵器』を狙う者どもと戦い続けているのだった。
そして現代。
西ノ京、もしくは西京(さいきょう)と呼ばれる、京都市内西部の北野天満宮があるあたり。
祇園勤めのおミズ:千鳥、美男子なのにヲタク&引きこもりの巽、丸眼鏡の売れない物書き:八重、サボり気味の女子高生:空音、そして空音の兄にして教師にして家主の是也………そんな面々が夜型三昧で暮らす和風素人下宿「小倉庵」に、十五歳の少女・幾乃がやってきた。
空音が通い、是也が教えるのは、西の郊外にあるミッションスクール「聖母西京学園高校」の夜間部。八重、巽、千鳥もその卒業生で、幾乃もそこへ入るために地方から出てきたのだったが…。
「ちょっと、何やってるんですか!」
完全夜型の五人が繰り広げるダメ生活に、田舎で世間知らずのお嬢様をしていた幾乃は、驚くばかり。
…言うまでもなく、幾乃を除くこの五人が、冒頭にある「長州隠密の子孫」。そして幾乃も実は高校入学のためだけに招かれた訳ではないのだが、本人はまだ何も知らない。
さて、市内では日本刀を持った少年たちによる強盗事件が続発し、「幕末強盗」と呼ばれて恐れられていた。五人がそれをたどっていくうち、祖先たちの宿敵である新撰組に行き当たる………市内壬生(みぶ)に怪しげな道場を置き、集めた不良少年やヲタク少年に速成剣術を授けていたのは、新撰組総長・近藤勇の亡霊だった。
「長州どもの『兵器』とやらを発動させて世を打ち壊し、腕次第、度胸次第の世の中に戻すのでござる!」
「その『兵器』の在処を知るらしい者どもが、今夜、市中某所にて集まりおる様子で…」
道場に潜入した巽が近藤の過去と現在をごっちゃにさせ、そして八重の作ったセットへ連れ込み全員で池田屋事件を再現。やがてセットが壊れて近藤が呆然とし、その隙に引導を渡して成仏させる…という筋書きなのだが、どうした訳か池田屋が壊れない。そのうちに近藤が予想外に凶暴になり、手がつけられなくなる………と、その時。
「我らを悪より救いたまえっ!」
幾乃の声が響き渡り、彼女の発した衝撃波でセットは無事に破壊された。是也たちの正体や行動計画を知り、自分に特別な「力」があるのを思い出して、ひとり後を追ってきたのだった。
「遅かったか…」
一件落着の後、近藤の資金源の謎を追った是也は、壬生の墓地で、幕末以来らしき近藤のヘソクリ箱を見つける。しかし中身は一分銀が一枚残るきり。
「全部使っちゃって、残りはこれだけなのかな?」
「いや…誰か手を貸してたヤツらがいて、残りをあわてて引き上げたのやろ」
墓地の脇に、黒いスポーツカーが一台。その中から二人の若い男が、墓地にいる六人を観察していた。運転席に座るのは、顔の濃いがっちりした大男。助手席には眼鏡をかけた細長い男。
「昨日引き上げといて正解やったな」
「しかし先生、結構やりよるな」
…かくして、一話読み切りと謳っておきながら微妙に物語は続くのだった………。