'15夏コミ新刊
10周年記念…初期の長編青春ドラマ、ここに本当の完結

 長編「紙一重のわがまま【Complete】」(上・下) 
  挿絵:由井ひな子 A5版128ページ+136ページ

 【作品サンプルはこちらです】

=上巻=
 日本海と中海に抱かれた山陰の町・米子の夏。
 授業中に絵を描くことだけを楽しみに高校生活を送っていた綾美は、ある日幼なじみの唯香理と再会する。
 遠くの私立中学へ進んだはずの彼女は、面妖な男装に身を固めて定時制高校に通っていた。
「これ、マジで落書き?イラストや漫画にするんじゃないの?」
 落書きの絵が唯香理の目に留まったのをキッカケに、同人誌即売会に連れていかれたり元漫画家の教師・尼子に引き合わされたり…と、綾美の絵の世界は広がっていく。
 しかし一方で、母親の聡美は絵を描くことや唯香理との付き合いに嫌な顔をし、聡美の交際相手の中村も同じ気配を漂わせてくる。
 そして学期末に成績不振が明らかになると、ただ一人の親友・葉月も絵をやめるようにと言い出した。
 どうしても描くのをやめられない綾美はもがき苦しむ中で、小さな救いを見いだすが…


=下巻=
 夏休み。宿題をこなすように見せかけて夢中で絵を描きまくる綾美。
 尼子の示唆を受けて綾美の絵はストーリーを帯びた続き物になっていたが、聡美は婚約した中村とともに、勉強していい大学を目指すよう綾美に迫る。
「そんなの嫌!私はどうしても描き続けたいのに…」
 もはや絵を描くことは呼吸と同じになっていて、猛勉強や塾通いに時間のすべてを取られるのは死に等しい。
「アイツが…中村が、お母さんをこんな風にしちゃったんだ」
 そう確信した綾美は、死んだと言われている実の父親に思いを巡らせ、その顔や名前を知る術を探し始めた。
 だが、そこで綾美に悲劇と破綻が襲いかかる。唯香理に助けを求めるも、彼女は冷徹に首を振った。
 …そして長い時間を経て、予想外の結末が訪れる。

 新たなテーマが流れ、キャラクターやエピソードが深みを増し、そしてラストも全く違った形に…加筆ではなく一から書いて作られた、元の作品よりも大きなスケールの物語。
 挿絵は、昨年『ぱすてるデイズ』(一迅社)で商業誌デビューを果たした由井ひな子さん。
 下巻には、由井さんの「あとがき」も収録。



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