お買い得メモ「岡山県(東部沿岸部)への旅」編


◆切符……往復割引と途中下車

 600キロ超の乗車券をあらかじめ往復で買うと「往復割引」があり、往復の運賃が各1割引となる。東京都区内〜東海道・山陽方面だと明石以遠が当てはまる。
 岡山までの片道運賃は10,190円だが、これが9,170円になる計算。
 行きと帰りの経路を同じ(新幹線&並行するJR在来線は同じ経路扱い)にし、その通りに旅行する必要はあるが、あとは普通乗車券と同じで、後述の途中下車もできる。
 なお、学生割引(2割引・学校から学割証をもらう必要あり)や団体割引(8人以上同一行程で1割引)との併用もできるが、どの割引も出発前に乗車券を買う必要があるのでご注意を。

 ちなみに「明石以遠」で思い出したが、東京〜神戸市内の片道運賃×2よりも、東京〜明石の往復割引運賃の方が数百円だが安い。神戸市内より先の権利を捨てるのは本人の勝手だし、明石発の乗車券で神戸市内から乗るのも全く問題ない。

 さて、100キロ超の乗車券は「途中下車」ができる。途中駅で改札を出ても乗車券が無効にならず、また入って旅行を続けられるという意味だ(あくまでも乗車券だけの話で、特急券などは下車即無効)。
 今回の旅行で岡山駅から東へ向かう場面も、新たに切符は買っていない。往復で買ってあった岡山→東京都区内の乗車券で岡山を出て、吉永、三石、そして上郡で途中下車している。
 ふたたび筆者が上郡に現れたのは、なんと三日後。実は乗車券には距離に応じて有効期限があり、600キロ超800キロ以下の東京〜岡山は5日間有効(今回は往復で買ったから往復全体で10日間)。つまり期限内に帰れるなら下車先で本格的に泊まっちゃうのもあり。
 ただし、以下の点にご注意。
★100キロ超でも途中下車できない切符や区間があるので、予定を立てる時に確かめておくこと
 (一般的な例外は時刻表の「JRの営業案内」で、「○○フリーきっぷ」のたぐいは関係するJR各社のサイトで調べられる。なお、途中下車不可なら切符本体に「途中下車前途無効」とあるか、付属の説明書に「できません」と書かれている)
★途中下車の際は改札口の駅員に一言
 (無人で改札自体がない駅なら構わないが、自動改札機に入れると出てこない場合がある)
 なお、ふたたび乗車する際には降りたのと同じ駅じゃなく、それより先の駅から乗ることもできる(スキップした区間を損してよければ)。


◆列車……サンライズ瀬戸・出雲「ノビノビ座席」

 眠っている間に着いて時間を有効活用、という場合には夜行バスがある。しかし眠れればいいのだが、寝付けなかったり途中で目が覚めたりするとどうしようもない(筆者はバスで本を読むと酔う)。それに、いくらリクライニングでも椅子より寝床の方がよく眠れる。
 が、世間は寝付きのいい人間が大多数らしく、バスの安さに追われて東京駅発の「ブルートレイン」は全滅してしまった。

 ところが寝台列車はまだ、高松行き「サンライズ瀬戸」・出雲市行き「サンライズ出雲」【上写真】が残っている。一本の列車として22:00に東京を出発、翌6:27着の岡山まで一緒に走る(姫路・上郡でも下車できる)。
「でも寝台ってメチャクチャ高いじゃないか」
 さにあらず。夜行バスにはかなわないものの、新幹線よりは安い席がこの列車にはある。その名は「ノビノビ座席」
 その車内【右写真】に入ると、上下二段に、カーペット敷きの床が簡単に仕切られて並んでいる【左写真】。シーツと枕カバーつき。シーツをかぶり、たたんだシャツでも出して枕カバーの下に敷けば寝床の出来上がり。
 …不安に思う人もあるかもしれないが、写真の画面外、下半身の部分にも仕切りがあり、寝てみると案外「きちんと仕切られた感じ」がする。隣との距離感も十分で、現に女性客も普通に乗っている。顔見知りの女性ユーザーいわく「逆にカーテンで仕切ってたりすると、変な人に忍び込まれても外から分からなそう」。なるほど、考えてみれば夜行バスだって隣から丸見えだ。

 あくまでも「座席」なので、運賃の他にいるのは専用の指定席特急料金3,650円のみ(全区間均一)。東京〜岡山の新幹線の指定席特急料金は6,170円なので、2,520円安くなる。これに前出の往復割引運賃を加えて、つごう12,820円。夜行バス(ツアーバスのたぐいは除く)と三千円差ぐらいまで縮まる計算だ。
 その差額で「寝床」に寝られる。寝付けなくても車窓は高速道路より変化があるし、椅子に掛けたくなったら明るい廊下を歩いてミニサロンへ(飲み物の販売機あり)。喫煙者には喫煙スペースがあり、着替えてサッパリしたいという向きにはシャワー室もある(一回310円・タオルセット200円)。

 なお寝台にすると3,650円が最低9,450円にはね上がるが、一番安いものを含めて全部個室(二人用もある)。
 また、もちろん上りもあり(東京着7:08)、こちらは三ノ宮・大阪に停車するので関西からの帰りに使える。新幹線の最終に乗るより3時間半ほど遅くまで、神戸・大阪に滞在できる。


◆弁当……海じゃなくても「ままかり」と「たこ」で


 瀬戸内海沿岸ながら、今回旅した沿線から海は見えない。それどころか途中から内陸へしけ込んでしまうのだが、それでも駅弁は魚介類に目が行く。
 さて写真左は「ままかり鮨弁当」。ご存じ岡山名物の小魚。『ご飯を隣の家へ借りに行くほど飯に合う』→「ままかり」という話は有名だが、その割には淡白な味で、量も一食分にはちょっと心細い。でも駅弁で700円は手軽だし、値段分の価値はある味。おつまみのつもりで買うか、買い出しを少なめにして「もう一品」にするか。
 しっかり一食とるなら、右の「たこめし弁当」。単にタコが乗っているんじゃなく、器の雰囲気から分かるとおりタコの炊き込みご飯。前者よりも量が多いのはもちろんだが、タコの足が案外食べごたえがある。幕の内以外でしっかり食べさせて870円、というのが何より。
 …でも実は、写真を見て一番費用対効果が高そうだったのは一番の名物弁当「祭り寿司」のベーシックなヤツ。しかし立ち寄った売店では品切れだった(涙。
 なお、岡山以東で駅弁があるのは岡山駅のみ。

★駅前での買い出し・食事事情

 岡山駅が買い出しや食事に困る場所じゃないのは、言うまでもない。中央改札横にあるコンビニに駆け込めば大概の買い出しは片付く。食事も駅ビル・地下街ともに選び放題だが、用途に応じて二つ書いておく。
1.朝6時から開いてるマクドナルド
 中央改札を出て左に進み、そのまま広い階段を降りたら階段の裏へ回り込むように左折(コインロッカーもここ)。サンライズで着いてアイスコーヒーを飲んだ店。コンセントつきの席がある。ただし全席禁煙なので、喫煙者はテイクアウトにして駅前広場の喫煙コーナーへ。
2.電車から一番近い「全国チェーンじゃない居酒屋」
 上と同じく中央改札から左へ進むと、右手に「さんすて」というショッピング街の入口がある。入って左手に旅行会社、隣に本屋があって、そのさらに隣。名前忘れた(汗。居酒屋になるのは15時からで、魚を中心に岡山名物をだいたい食べられる。場所がいいこともあって格安とはいかない(一品500円ぐらい〜)が、市内の高そうな料理屋に入るよりもずっと安い。

 一方で岡山駅以外は、智頭急行沿線は仕方がないとして、山陽線沿いは鉄道がそこそこ使われている割に駅前が大変心細い。以下は今回までに確認できたものだけだが、仮に全駅で降りてみても半分近くは何もないと思う。
◇食料品店を確認できたのは以下の各駅
 和気(コンビニもどき・スーパー)、吉永(駅のやや岡山方に、ショッピングセンターというか大阪の下町によくある"市場"みたいなの)、上郡(ヤマザキデイリーストア)、智頭急行・大原(国道まで出るとコンビニがある)
◇飲食店を確認できたのは以下二箇所
1.吉永
 上述のショッピングセンターの中に、スーパーにありがちなタコ焼きやお好み焼きを売る店。駅前に個人経営の寿司屋があるが、16時の時点で「品切れにより閉店」の貼り紙。
2.智頭急行・大原
 国道との突き当たりまで出て左へ進むと、左手に喫茶店風の四角い建物。田舎によくありがちな中華料理も酒も出す喫茶店。

 なお三石だが、短編「かえりみち」に出てくる喫茶店は筆者の創作なので、降りても何もない。念のため。




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